物事の順番

物事に順番があるというのはみなさん日頃から感じておられると思う。

身近な例をとれば車の運転である。レストランへ車で行く場合を考える。

まず車にガソリンが入っている必要がある。
ガソリンが入っているとエンジンが動く。
エンジンが動くとタイヤが回転する。
タイヤが回転すると車が動く。
車が動くとレストランに到着する。

番号を振ると ①ガソリンが入っている→②エンジンが動く→③タイヤが回転する→④車が動く→⑤レストランに着くとなる。 ①→②→③→④→⑤という順番である。 ①から⑤のどれかに問題が生じるとそれより以降のところ、下流のところに問題が生じる。

例えば②のエンジンが壊れたとする。 その場合①のガソリンには影響がない。エンジンが壊れてもガソリンを入れることはできる。 しかしエンジンが壊れると③のタイヤの回転がうまくいかなくなる。 当然④の車を動かすのもできないし⑤のレストランに到着するのもできない。

例えば③のタイヤに問題が生じたとする。例えばパンク。 この場合①のガソリンと②のエンジンには影響しない。 タイヤがパンクしてもガソリンは入れられるし、エンジンも動く。 しかし④の車が動くという点について問題が生じる。当然⑤のレストランに到着するというのもできない。

あくまで①→②→③→④→⑤という順番であり⑤→④→③→②→①という順番ではない。

他の例を挙げる。ビジネスで考える。 他社にはない良い技術力を持っている会社があるとする。

良い技術力があると良い商品ができる。良い商品があるから営業がうまくいく。 営業がうまくいくから商品が売れる。商品が売れるから利益が上がる。

番号を振ると①良い技術力がある→②良い商品ができる→③営業がうまくいく→④商品が売れる→⑤利益が上がる、となる。

同じことだが別の例を挙げると 良いビジネスモデルがあるとコストが削減できる。コストが削減できるからサービスが安く提供できる。サービスが安いため営業がうまくいく。営業がうまくいくから売れる。売れるから利益が上がる。という例でもいい。 最初の例のほうが分かりやすいので技術力のほうの例を用いる。

①良い技術力があって②良い商品ができても③の営業が非常に下手だったら④以下が壊滅する。 ④の商品が売れず⑤の利益が上がらない。 しかし営業が下手でもそれが原因で①の技術力が下がったり②の商品が劣化したりはしない。

①の良い技術力がないのに頑張って③の営業をしてもなかなか売れない。 やはり①→②→③→④→⑤という順番であり⑤→④→③→②→①という順番ではない。

同じような例だが、 良い技術力があると、銀行がそれならと納得してお金を貸してくれる。 お金を借りれるので、設備投資ができる。 設備投資ができるので商品が作れる。 商品が売れるので利益があがる。

①良い技術→②資金調達→③設備投資→④生産→⑤売上→⑥利益 となる。

このような例はみなさんいろいろ思いあたると思う。

美人だからもてるのであって、もてるから美人なのではない。 疲れたから休むのであって、休むから疲れるのではない。 悲しいから泣くのであって、泣くから悲しいのでは基本的にはない。

最近肩こりがそれなりにあるので、肩こりに関する本を買って研究してみた。

その本によると筋肉など体の使い方が悪いと猫背になって姿勢が悪くなる。 猫背になり姿勢が悪くなると首や肩に無駄な力が入る。 無駄な力が入ると筋肉が固まり肩こりになる。 肩こりになると頭痛になる。

番号を振ると①体の使い方が悪い→②猫背になる→③無駄な力が入る→④肩こりになる→⑤頭痛がする となる。

子供のころ大人から「背を伸ばしなさい」と言われた人もいるだろう。 気を付けて背を伸ばしていれば、そのうちいつも背が伸びてる状態になり姿勢がよくなるという考え方である。 ②が治るので一見③以降も治りそうである。

しかしこの方法はうまくいかない。油断するとすぐまた元の猫背に戻る。一時的な効果しかない。①の体の使い方が改善されていないからだ。

⑤の頭痛がするからと言って頭痛薬を飲むのは、無駄ではないが一時的な効果しかない。対症療法である。④の肩こりに関してはマッサージという方法もある。これは確かに効くが、やはり根本的な治療ではない。

①の体の使い方を改善すれば自然と全体が解決する。 すると②の猫背が自然に治り③の無駄な力が入らなくなり④の肩こりはそのうち治り⑤の頭痛が治るのも時間の問題だ。 いずれにしても全体が徐々に自然に解決する。

まあだからと言って私の猫背が治ったかといえばまだ治ってないのだが(笑)。

続きは『大学』における「本」と「末」をご覧ください。


■上部の画像は葛飾北斎
「女三ノ宮」。

■このページを良いと思った方、
↓のどちらかを押してください。





■関連記事