其の次はこれを親しみ誉む~老子を読む3

4.其の次はこれを親しみ誉む

 第十七章は以下のように続く。

書下し文  
其の次はこれを親しみ誉む

現代語訳  
その次に優れた君主は人民は彼に親しんで誉めたたえる

  次に優れたタイプの君主は最上の君主のように自然な方法で人々を導ける場合だけではないので、 その仕事に形跡が残り人民はその君主のおかげで自分たちの生活が良くなったと知るので、親しみ誉めたたえるというわけである。 これをケース2とする。

 周の文王がこれに当たるだろうか。しかし周の文王も当然ケース1の側面を持ち合わせていたはずである。 文王の業績のうち自然に人々を導いて歴史に残らなかった側面もあったであろうと考える。

 個人的にはケース1とケース2の両方の側面を持つ人物が理想的君主だと考える。 たとえ老子の理論通りに世の中を導けず形跡が残り、それにより多少のマイナスの側面が生じたとしても、 それ以上の良い結果がその行いによりもたらされるならば、君主はその事業を行うべきだからである。

 第十七章はさらに続く

書下し文  
其の次はこれを畏る

現代語訳  
其の次の君主は人民は恐れる

 さらにその次の君主は悪行を厳しく罰するから人民は恐れる。これをケース3とする。 三国志で言えば曹操がこれに当たる。彼は乱世の奸雄と呼ばれ恐れられたが中国に太平をもたらした人物である。 トップに立つ人物にはこの側面も必要だろう。

 さらに続く

書下し文  
其の次はこれを侮る

現代語訳  
其の次の君主は人民は彼を侮る

 三国志で言えば董卓がこれに当たる。彼は横暴な権力者で暴虐を尽くしたが、 最後には暗殺され横死した。彼は人民に恐れられたが、悪行を罰するから恐れられたのではなく 横暴で恐れられたのでケース3には当たらない。彼が当時の人民に侮られていたかは知らないが、 後世の人からは侮られている。

続きは無欲にして其の妙を観る~老子を読む4をご覧ください。

■このページを良いと思った方、
↓のどちらかを押してください。



■関連記事