終わりに

別記事で「現象は複雑だが、本質はシンプルになる」と述べた。確かに現象は複雑である。そしてその背後にある本質は、多くの場合シンプルである。しかしそれは原則である。たまに本質が、真理自体が、若干複雑になっている場合がある。今回のグラフはそのひとつである。





下の図のように直線的に進んでくれればいいのだが、上の図はB区間において分かりづらいカーブが存在する。これが非常にわかりづらい。





この少しの複雑さが歴史上、多くの誤解と悲劇を生み出してきた。

③型の人は①型やヒトラーと区別がつきづらい。③型の人は能力がかなり高い人である。もちろん他人からはその人が能力があるかは分からない。他人から見て能力がない人に見えれば、③型の人は①型の人と間違われやすい。③型のサイコパスぶりを見て、異常者か犯罪者と思われる。他人から見て能力がある人に見えれば、そのサイコパスぶりを見て、ヒトラーと間違えられる可能性もある。

実際、③型の人と①型の人、ヒトラーは、表面的には区別がつきづらい。これは人間に試練を与えるための神のはからいなのか、単純に自然の構造なのかは私には分からないが、いづれにしても厄介な問題である。

世界の正統思想はB区間に関して沈黙している。B区間について語れば、多くの人たちに誤解を生み、ヒトラーのような人を生み出してしまうからである。その代わり異端とされる思想家がB区間について語る。

儒教が語らないから韓非子が語るのであり、キリスト教が語らないからマキャベリが語るのであり、仏教やヒンドゥー教が語らないから、カウティリャが語るのである。

少数の人たちが彼らの意見に耳を傾け、場合によってはヒトラーのような危険な人物を生み出してきた。しかし真理はおそらく上のS字カーブのグラフのようになっており、これを認識していれば大きな間違いは防げると思う。

■作成日:2024年12月2日


■上部の画像はガウディ

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