クラウドの苦悩

5つ目の理念はクラウドの理念である。 これは理念と呼んでいいか分からない。 エアリスの理念の実行者、補完者と言うべきかもしれない。

クラウドは宝条のセフィロスコピープロジェクトにより ジェノバ細胞を埋め込まれた。そして5年前に故郷ニブルヘイムは セフィロスにより全焼。 クラウド自身はその決着をつけるためにセフィロスを追っていると信じている。 それは半分当たっている。 しかし実際にはジェノバのリユニオンによりセフィロスに呼ばれているのである。

セフィロスを追うことで自然とセフィロスの計画にまきこまれ、 それを阻止しようとするエアリスの計画にもまきこまれていく。 セフィロスコピーとして一時は黒マテリアをセフィロスにわたし、 セフィロスの計画に加担してしまうが、最終的にはエアリスの計画を知り、 それを実行することで星を救う。

クラウドの理念を理念と呼んでいいか分からない。 理念は最初に切実な問題、悩み、動機があってそれを解決するための努力が必要である。 その過程で「これはこうあるべきだ」という考えが「自然と」生まれてくる必要がある。 「強引に」ではなく「自然と」である。

クラウドには強烈すぎるほどの動機がある。 そしてそれを解決するための努力もものすごい。 しかし彼は世界を変革する理念を持っていない。

世界を救ったのは確かにクラウドだが、 それは基本的にエアリスの理念を実行し補完したのだ。 自分自身の理念ではない。

そうは言ってもエアリス亡き後、正しい理念に近いものを持っていたのはクラウドひとりだ。 実際クラウドが離脱した後、シドがリーダーになるが、 シドたちが行ったのはヒュージマテリア作戦というピントのずれた作戦だ。 この時、実際のリーダーはバレットである。 作戦の内容はバレットが考えているし、 そもそもシドをリーダーにと言い出したのもバレットだ。

バレットの指示でシドが飛空艇のオペレーションルームに行く途中、 ユフィが「シド・・パシリ?」と言ったのは実は本質をついている。

バレットが実質のリーダーになったことで、 シドたちの作戦はアバランチ時代の単純な反神羅の理念に戻っている。 ヒュージマテリア計画は単に神羅の足を引っ張るだけの作戦。

クラウドが復帰して初めてエアリスの目的が何だったのかについて考え始める。 ブーゲンハーゲンの知恵を借りることでエアリスの目的に気づく。 セフィロスと対決するという深い動機を持っていたのは、 エアリス亡き後クラウドひとりだったのだ。

クラウドはエアリスの理念を引き継いで セフィロスを倒さなくてはならなかった。 これが外部のセフィロスである。

そしてジェノバ細胞を埋め込まれた者として、 内部のセフィロスとも戦わなくてはいけなかった。 オリジナルのエンディングでセフィロスを倒した後に クラウドが「あいつはまだいる・・・笑っている・・」と言い、 超究武神覇斬でセフィロスをもう一度倒す場面がある。 これが内部のセフィロスを克服した場面である。

これによりクラウドの深刻な悩みは解決し彼の旅は終わったのである。

■モーツァルトピアノ協奏曲25番第三楽章

■モーツァルトピアノ協奏曲24番第一楽章


■上部の画像はガウディ

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作成日:20200/7/17

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