好きな漢詩

李賀の漢詩。漢詩の中では空海の次に好きかな。幻想的。 李賀の漢詩は分かりづらいので解説つけました。


原文

将進酒

琉璃鍾
琥珀濃
小槽酒滴真珠紅
烹竜炮鳳玉脂泣
羅屏繍幕香風囲
吹竜笛
撃鰐鼓
皓歯歌
細腰舞
況是青春日将暮
桃花乱落如紅雨
勧君終日酩酊酔
酒不到劉伶墳上土




書下し文

将進酒

琉璃の鍾
琥珀濃し
小槽酒滴って真珠紅なり
竜を烹 鳳を炮して玉脂泣く
羅屏繍幕香風を囲む
竜笛を吹き
鰐鼓を撃ち
皓歯歌い
細腰舞う
況や是れ青春日は将に暮れんとし
桃花乱落し紅雨の如し
君に勧む終日酩酊し酔わん
酒は到らず劉伶 墳上の土に

解説

将進酒
酒をすすめる歌

琉璃鍾
琥珀濃

琉璃の鍾
琥珀濃し

琉璃・・紫がかった濃紺の宝玉
鍾・・小さくずっしり重い盃
琥珀・・琥珀色の酒

濃紺の琉璃の鍾に琥珀色の酒が入っている。
色の対比が綺麗。

小槽酒滴真珠紅
小槽酒滴って真珠紅なり

小槽・・・小さな桶 酒を貯蔵する
真珠紅・・桶から滴る酒の水滴を紅い真珠に喩える。これも色彩。

烹竜炮鳳玉脂泣
竜を烹 鳳を炮きして玉脂泣く

酒には料理。
肉を料理している。
羊とか鶏とかの肉のはずだが竜と鳳の肉に喩える。
竜を烹・・・竜を煮
鳳を炮き・・鳳を包み焼き
玉脂泣く・・鳳の脂が沸騰するさま

羅屏繍幕香風囲
羅屏繍幕香風を囲む

羅・・・薄い絹
屏・・・垂れ幕
繍幕・・刺繍した幕

部屋に刺繍した幕が垂れてその内に料理の香ばしい匂いが満ちるという意味か。

吹竜笛
撃鰐鼓
皓歯歌
細腰舞

竜笛を吹き
鰐鼓を撃ち
皓歯 歌い
細腰 舞う

宴会には音楽。
竜笛・・・竜の骨の笛
鰐鼓・・・ワニの皮の鼓
皓歯歌い・・・白い歯が歌う 歌姫
細腰舞う・・・細い腰が舞う 舞姫

況是青春日将暮
桃花乱落如紅雨
勧君終日酩酊酔

況や是れ青春日は将に暮れんとし
桃花乱落して紅雨の如し
君に勧む終日酩酊し酔わん

これは解説いらないかなあ・・。
せっかくの春ですから飲みましょう的な。
「桃花乱落して紅雨の如し」が李賀らしい。

酒不到劉伶墳上土
酒は到らず劉伶 墳上の土に

劉伶は酒好きの故人。
死んでしまえば酒も飲めない。
生きているうちに飲みましょう、と。

■上部の画像は葛飾北斎
「女三ノ宮」。

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