文章の自己評価

自分の文章を自己評価してみる。私の文章の長所は分かりやすさにある。私の文章にはドイツ観念論のような思想の深遠さはない。英米分析哲学のような論理の鋭さもないし、フランス現代哲学のような表現の洗練もない。あるのは分かりやすさなのである。

文章をコーヒーに譬える。コーヒーに砂糖を大量に入れて「おいしいでしょ」ということもできる。コーヒーの味を楽しむのではなく砂糖の甘さが「おいしさ」の代わりをする。これは一般向けの思想の本で結構よく見かける。『90分で分かるカント』のような本。レベルを極端に落として分かりやすくする。

しかし私の分かりやすさはコーヒーの味を確かに伝えたうえでの分かりやすさ。レベルをあまり落とさない。私のレベルまでは確かに落ちるので確実に落ちてはいる。でも一応思想と呼べるレベルにはなっているはず。そして他の分野の人でも理解できる。

分かりやすさを売りにしている人間のつらさは「面白くない」と言われたときに反論できない点だ。読者が私の文章を理解して面白くないのであれば私の思想的な力不足である。私の文章を理解できず面白くないのであれば私の説明の分かりやすさの不足である。どっちにしても私のせいになる。

ヘーゲルの『精神現象学』を面白くないと言うのであれば読者の力不足が問題だ。しかし私のように分かりやすさが売りなのであれば読者のせいにはしずらい。もっともどんな人でも理解できるように書くと言うのはそもそも不可能なので完全を目指してはいない。

この点に関し北村弁護士の分かりやすい説明がある。

最近急に忙しくなってきたのでサイトの更新頻度は減ります。悪しからず。


■このページを良いと思った方、
↓のどちらかを押してください。



■上部の画像は熊谷守一「桜」

■作成日:2022/09/20