かなり以前だが司法書士の資格の勉強をしていた。知的好奇心の塊のような人間なので「うわ~法律の勉強ができる!!」とよだれをたらしながら夢中で勉強していた。 少なく見積もっても1日6時間勉強。15ヶ月なので大体3000時間は勉強した。
しかし覚える量が多く1年目は不合格。「あ~ダメだったか。もう一年頑張ろう」と思って2年目勉強を再開。すぐに思ったのが「・・・え?また同じ内容やるの?」やる気を失ってやめてしまった。法律の勉強には興味があったが司法書士の仕事には大して興味がなかったのだ。
裁判の傍聴はしょっちゅう行っていた。現実に起きた出来事なので作りごとではない。とても臨場感があって言語化できないリアルな雰囲気が伝わってくる。ただ思いっきり個人情報なので傍聴していいのかという疑問も湧いた。
最近は怖いですね。携帯のメールとか全部証拠として残る。 裁判には自由心証主義と言って、最終的には裁判官がその長年の経験を基に自由に事実認定や証拠の信憑性などを判断してよいという原則がある。
それで原告被告は裁判中は誠実に見えるように振舞うが、変なメールを送信していたらそれも無駄。ばっちり証拠として残ってる。将来現在よりたくさんの機器がネットにつながるようになると考えると・・。
裁判は法律を知っているほうが有利。それでみな弁護士を雇って裁判するのだが、お金がないのか弁護士なしで自分で裁判している人がいた。勤めていた会社で大ケガし長期入院したらしく若い女性が会社を訴えていた。
その女性の裁判官との受け答えを見ていると「ああ、法律全然知らないな」とすぐわかる。しかし法律を知らないから必ず不利とは限らないと思い知らされた。 その女性から発せられる誠実さと真摯さがとても印象的で裁判官は明らかに女性の主張に共感していた。
会社側の代表も証言前に裁判官に敬礼するなど誠実さをアピールしてたが、会社側の作られた誠実さより女性のあふれでる誠実さのほうが勝っていたのだ。裁判の結果は見届けなかったが女性側が明らかに有利だった。
実際に訴えたり訴えられたりしたことは今まで一度もないが、裁判の傍聴はしょっちゅういっていたので裁判に対する敷居の高さみたいなものは私にはない。
ただ司法書士の勉強は刑法は多少勉強するが、司法試験とは違って、刑事手続法は勉強しない。 刑法ではどういう罪を犯せばどういう刑に相当するかを学ぶ。しかし刑事手続法は勉強してないので警察や検察がどのような手続きをとって捜査したり立件したりするかはよく知らない。
もっとも司法書士では民事手続法は勉強する。民事手続法は、よく分からんが多少は刑事手続法に類推適用できるかもしれない。 例えば民事保全法では債務者に対し不動産や動産の仮差押えができる。 不動産の仮差押えは不動産の額は大きいので金銭的には効果がある。が、債務者にとってピンとこない。 不動産の登記簿にひとこと「仮差押え」の文字が入るだけだ。 不動産の登記簿など生涯で2,3回しか見ないだろう。仮差押えやられた側に実感がわかない。
動産差し押さえのほうがピンと来る。 裁判所の執行官が家にドカドカと乗り込んできてテレビとかソファーとかを仮に差し押さえる。 こっちのほうがインパクトがある。
民事保全法第49条1項を引用する。
動産に対する仮差押えの執行は、執行官が目的物を占有する方法により行う。
動産は不動産に比べ金額が小さいので金銭的には効果がないが、債務者にはピンときやすい。
民事手続法を刑事手続法に応用できるとすれば、犯人の目星がついていれば容疑者の持ち物を「仮差押え」できるだろう。 俗に言う家宅捜索ってやつか?刑事手続法は本当に知らんのでよく分からんが。ググればいいんだが、それはまだしてない(笑)。
民事手続法を勉強すると学んでいる間、実際の裁判を行っているかのようなイメージトレーニングになる。
法律は面白い。非常に論理的にできていて事実を論理によって構成していくのが面白い。知的な興味をそそる分野だ。 司法書士の勉強は基本的には予備校の教科書をベースに勉強していくが、実際の法律の条文も読まなくてはいけない。 予備校の教科書は思想の勉強でいえば翻訳書や解説書にあたる。法律の条文は思想の原典にあたる。 上手く表現できないが、思想も原文を読むと何か腑に落ちるというかしっくりくる。同じように法律も条文を読むとしっくりきて腑に落ちて知識がつながっていく感じがある。
予備校の教科書はもちろん間違えているわけではないが、書く人によって若干バイアスが入る。条文にあたったほうが「これが正体か」としっくりくる。 思想の解説書も必ずしも間違っているわけではないが、原文を読んだ方が腑に落ちる。
■上部の画像は葛飾北斎
「女三ノ宮」。
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